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仁愛によって配下を導く聖王を志すも怨霊に脅かされ続けた平安の覇王『桓武天皇』

桓武天皇―平安の覇王

桓武天皇―平安の覇王

  • 作者:三田 誠広
  • 発売日: 2004/06/01
  • メディア: 単行本
 

 

以前からずっと読みたかった三田誠広の『桓武天皇

世の中にはなかなか出回ってなくて、図書館にもなく。

それがBOOKOFFで見つかるなんて。それも1,100円で。

Amazonなら3,000円以上の値段がつく状態のいい美品。

 

売らないけど。

 

桓武天皇って多くの書籍では即位した後のことが中心で、

若い頃のことを描いたものってあんまりないんだよね。

 

だから、多くの人にとっての桓武天皇のイメージって、

”ある日どっかから突然引っ張り出されて来た、

渡来系の母親を持つ異色の天皇”みたいな。

 

本書が素晴らしいのは、桓武天皇がまだ若い頃、

具体的には大仏開眼法会に参列する頃から描いている点。

 

大仏鋳造の悲願を達成した聖武天皇

光明皇后に取り入ってやがて独裁者となる南家・藤原仲麻呂

孝謙称徳女帝とのただならぬ関係で専横を極めた道鏡

宇佐八幡で神託を受け万世一系皇位継承を守った和気清麻呂

儒者にして右大臣に昇った吉備真備

見事なまでの政策を弄し辣腕を振るった式家・藤原百川

仏教に代わって次の時代をつくっていく最澄空海

 

本書の4分の3が、桓武天皇が即位する前の話しだから、

安殿親王との親子の確執とについてはあんまり触れていないけど、

 

桓武天皇と式家・藤原種継(薬子の父親)と関係性とか

のちに摂関家の基礎を築く藤原冬嗣に至る北家の系譜とか

めちゃくちゃよく理解することができる。

 

本書に近い時代を扱ったおすすめ小説と読む順番としては、

坂口安吾の『道鏡』→三田誠広桓武天皇

永井路子『王朝序曲』→杉本苑子『壇林皇后私譜』

となります。

 

あーー

 

この辺の小説をもう一度全部読み直したくなってきちゃったなー。