台風19号災害復興ボランティア活動まとめ
昨年末に台風19号の災害復興ボランティアに2回ほど参加したので、いまさら感も否めないが、せっかくだからその時のことをまとめておくことにしよう。
「災害ボランティアに参加してもいいんだけど、どこでどういう手順を踏めば参加できるようになるのかよく分からないし・・・」「現地に行って、結局やることがなかったら、行っても意味ないし・・・」みたいな。
そんなボランティア素人のみなさんにオススメなのが、非営利活動団体などが企画するボランティアバスツアー、通称ボラバスだ。
企画した団体や組織によって様々なタイプのものがあると思うが、参考までに、
私が参加して良かったと思った非営利活動法人グッドネーバーズジャパンによる福島県いわき市災害ボラバスの内容を中心に紹介しよう。
【日 程】11月30日(土)~12月1日(日) 1泊2日
【参 加 人 数】31名
【参 加 費】7,000円
:宿泊代、バス代、食事代(一日目夜、二日目朝・昼)込み。
【活 動 内 容】被災した家屋の家財の運び出し・泥だしなど。
【持 ち 物】・身分証明書
・ボランティア活動保険加入証明(ネットで350円~で加入できる)
・活動に適した服装/装備(ゴム手袋、軍手、長靴、マスクなど)
・一日目の昼食
【スケジュール】1日目 11月30日(土)
7:15 東京駅鍛冶橋駐車場発
10:00 いわき市災害ボランティアセンター着
10:30 ボランティア活動開始
15:00 ボランティア活動終了
17:00 旅館着(いわき湯元温泉)
2日目 12月 1日(日)
8:00 旅館発
8:30 いわき市災害ボランティアセンター着
9:00 ボランティア活動開始
14:00 ボランティア活動終了
15:00 いわき市発
19:00 東京駅着、解散
(②いわき市災害復興ボランティアセンター入り口)
(③いわき市災害復興ボランティアセンター)
(④いわき市災害復興ボランティアセンター 待機場所)
ボランティアとボランティアに来てほしい人のマッチングを行っているのがボランティアセンター、通称ボラセンだ。
ボランティアに来た人はまずボラセンで受付をする。その後、待機場所で待っていると、ボラセンスタッフが案件を紹介しに来るから、その中から自分ができる/やりたいものを選んで参加するわけだ。
「〇〇地区の✖✖さんからの要請で、作業内容は庭に堆積した泥と流木の撤去です。人数は10名です。どなたか行っていただける方はいますか?」
「次の要請は、△△地区の☆☆さんのお宅で、作業内容は和室と寝室の床下の泥のかきだしで、人数は6名です」などなど。
(⑤災害ゴミで溢れかえった公園)
ボラセンでは、水や除菌用ウェットシートなどが用意されていたし、スコップや土嚢袋、バケツ、ゴーグルなどは貸してもらえるので、道具に困ることはないだろう。また、作業場所が歩いていけない距離ならば、作業場所までの送迎もしてもらえるので、土地勘がなくても安心だ。
作業内容が「3K」(きつい、汚い、危険)ということもあって、ボラセンは、とにかくボランティアの安全や健康に気を配っている。
「1時間毎に10分程度の休憩を取るようにしてください」
「作業が終わっていなくても、15:00ぐらいを目途に切り上げるようにしてください」
ボランティアに無理をさせることはない。
(⑥床上浸水した住居の様子)
(⑦床下の泥だしの様子) 著者(右)
作業は15:00まで。途中でも片づけて、ボラセンに戻って進捗状況などの報告をする。要請の作業がまだ完了していなければ、「継続案件」として、後日、他のボランティアに引き継がれることになる。だから、無理してその日中に終わらせようとする必要はない。
初めてボランティアに参加してみて感じたこと。
当たり前の話だが、被災者にもいろんな人がいる。
たとえば・・・
- ボランティアによる活動が当たり前の感覚になってしまっているのか、それともボランティア活動を「仕事」でやっていると思っているのか、当然のように指示をしたり、お礼を言うようなこともなかったり、
- どさくさに紛れて、今回の被災とはまったく関係ない作業を依頼してきたり、
- 自分の家なのに、ボランティアに丸投げするやつとか、
写真が出てきたから、家主に「写真がありましたよ」って渡してやったら、
「これは必要ないんですけど、どこに捨てればいいですか?」って聞かれた
ときには思わず「知らねーよ」って言いそうになりましたね。だって、それ
は本来お前のゴミで、お前が捨てるべきものなわけだから、お前が「土嚢袋
(泥)は玄関の前に置いておいてもらえますか」とか「生ごみはこっちにお
願いできますか」みたいにボランティアにお願いするものなのに、それを、
今日ボランティアとして他所から来た人に「どこに捨てればいいですか」っ
てありえないだろーよ!?
- エロビデオが家のいたるところに散乱して、「このクソが!!」と思ったこともある。
もちろん、そういう人たちばかりではなく、
- 「もうこの家に戻ってくるのがイヤだったんだけど、また早くこの家に住みたいと思えるようになりました」とか
- 「やっとスタートラインに立つことができました」とか
- 「これでようやく年が越せるようになりました」とか
非常に有り難い言葉をいただけることが多いのもまた事実なわけで。
(⑧庭の土砂と流木の撤去)グッドネーバーズジャパンFacebookより
ボランティアはよく「無償の奉仕」なんて言われ方をされるわけですが、ボランティアにも「見返り」はあっていいし、むしろ「見返り」があるべきだと思うんですよね。
それはもちろん、金銭的なものではなくて、被災者の笑顔であったり、感謝の言葉であったり、ボランティアが「役に立ててよかった」「喜んでもらえてよかった」「ボランティア活動に参加してよかった」と思えることです。
ボランティア活動から得られる満足感、充実感、達成感というものは、マズローの欲求5段階説で言うところの、承認欲求や自己実現欲求を満たすことができるもので、
それが、ボランティア活動の最大の魅力なんです。
精神的に辛い状況にある被災者にそんなことを求めちゃいけない、というような意見もあるかもしれませんが、少なくとも、ボランティア活動を広げていくためにはそういった「見返り」は必要なんだと思った次第です。
(⑨夏井川の決壊箇所 その1)
(⑩夏井川の決壊箇所 その2)
今後またボランティア活動が必要となるような災害が発生することは望ましいことでありませんが、もし、同様の災害が発生したら、サラリーマンの皆さんも週末を利用してボラバスなどの活動に参加してみてはいかがでしょうか。
ゴルフに行くよりも、よっぽど安上がりで、人の役に立つことができ、参加者と協働することで交友の幅も広げることができ、おまけに承認欲求まで満たせる。
こんないいアクティビティは他にはなかなかないと思うわけです。
(⑪押入れの2段目で生き延びたネコ)
備考)
グッドネーバーズジャパン企画のボランティア活動での写真:⑧⑩⑪
シャプラニール企画のボランティア活動での写真:①②③④⑤⑥⑦⑨