必要なのはポエムじゃない。周りの脳みそを惹きつけるセクシーな頭脳なんだ!!『仕事は楽しいかね?《最終講義》』
今回、マックスから講義を受けるのは、これまでの2作とは異なり、マックスの甥の<僕>とそのフィアンセ・アンジェリーナ。
高校時代からの友人が勤め先の大企業で”異例の大抜擢”を受けて、「なぜ彼女がそんなに評価されるのか?私は全然パッとしないのに」と悩むアンジェリーナに、僕は提案します。
「僕のおじさんに会いに行こう。きっといい知恵を貸してくれるよ」
『仕事は楽しいかね?《最終講義》』
世の中には、「あいつはめちゃくちゃ仕事ができる」「めちゃくちゃ優秀」と周りから評価されている人がいますが、その人たちの多くは、いわゆる天才といわれるような特別な頭脳を持っているわけではありません。
”優秀である”ための資質は、実は誰にでも備わっているものなんです。
優秀であるかどうかは、その資質を生かせているかどうかという問題に過ぎません。
人と接するときは、常に相手の無限の価値を忘れてはならない
カラスという鳥は、「6」までしか数を数えることができないそうです。
6人の猟師が森に入って5人出てきたら、まだ1人森に残っていることが分かりますが、7人入って6人出てきたら、カラスは、もう猟師は残っておらず安全だと思ってしまうそうです。
7以上の数字が存在することすら知らないカラスは、「自分は、事態を完全に把握している」と。
それと同じことは人間にも言うことができます。
何も分かっていない上司ほど、自分はいろんなことを知っていると勘違いしていることが分かったんだ(P110)
優秀な人ほど謙虚であると言います。
それはもちろん、自分が知らないということを認識しているからに他なりませんが、それだけでは「優秀」とは見なされませんよね。
彼らは、自分の頭脳に限界があることを理解しているのです。
だから、一人ですべてを把握しようとは考えず─────
人間は、単なる分子とホルモンの集合体ではありません。
私たちはみんな、計り知れない価値を持った存在です。(P53)
人と接するときは、”常に”相手の無限の価値を”忘れてはならない”んだ。(P54)
彼らは周囲の人と、頭脳のネットワークを築くのです。
誰が知っているか分かっていれば、自分が知っているのと同じだ。(P118)
大統領付きの医師としてホワイトハウスで働いたコニー・マリアーノ博士。自分がいつも熱くなりすぎる猪突猛進タイプであることを知っていた彼女は、自分の代理を務める人物に、頭脳的で分析的なリチャード・タブ博士を選びました。
なぜ彼女は、自分とはまるで真逆のタイプの人間を選んだのでしょうか?
それは、彼女が自分の限界に気づいたからに他なりません。
だから、彼女は自分にはない新しい脳みそを加えたわけです。
すばらしい発想ですね。
この考え方は、過去の哲人に学ぶことの重要性を訴えていたセネカを思い起こさせます。
「自分の時代に、すべての時代を付け加えることができるからだ。彼が生まれる以前に過ぎ去っていったあらゆる年月が彼の年月に付け加えられるのである」(中澤務 訳『人生の短さについて』光文社古典新訳文庫)
最高の人材ほど、答えよりも多くの質問を持っている
優秀な人材になるためには、自分の集合的頭脳に新しい脳みそを加えていく必要があります。
あらゆる機会を捉えて、積極的に大勢の人に出会って巨大な脳のコネクションを作り上げていくということ─────
オーケー、じゃあ”頭脳の高鳴り”について話すことにしよう。巨大な頭脳を作り上げたいと思ったら、その灰色のやつをスムーズに働かせなくちゃならない。周りのみんなに、きみのことを、きみのために、きみと一緒に考えてもらうんだ。きみの話を聞くことに喜びを感じるあまり、脳みそが激しく高鳴るくらいにね。(P124)
周りの人の脳みそを惹きつける頭脳を持つということ。
それこそが、セクシーな頭脳。
たとえば、
元ブロックバスターのオンライン部門責任者、シェーン・エバンジェリスト。
郵便でDVDをやり取りするインターネット事業を成功させるためには、顧客からの注文にどれだけ効率的に応えられるか、にかかっていることは分かっていたが、どうすればいま以上に効率化が図れるのか彼には全く分からない。そこでシェーンは、スタッフのところに行ってこう言った。
「この一連の作業を、そうだな、50秒で済ませられる方法がないもんかと思ってるんだけど・・・・・・」
そうするとスタッフは、なんと、その作業を40秒に短縮させたとか。
すごくよく分かりますよね。
上司から「〇〇できるように考えろ」って指示されると、「やだなー」とか「なんで俺が?」って思ってしまうものですが、
「〇〇できるようにならないかなあ」と悩んでいる上司を見れば、「よし、俺がなんとかしてやろう」って、自ら率先して解決策を考えてあげたくなるものです。
従業員であろうと経営者であろうと関係ない。質問することが答えを導くんだ。セクシーな頭脳の素晴らしい実例じゃないかね?(P132)
自分と違うアイデアを持つ人々との出会いは、知識を増やす1つの方法
人は自分のアイデアをあまり口にしたがらず、実際、アイデアがあっても黙っている傾向があるといいます。
しかし、有能な人々は助けを求められると喜んで力になってくれます。
したがって、自分が分かっていないことを受け入れ謙虚に質問するで、有能な人たちから素晴らしいアイデアを引き出すことができるのです。
聡明な人間は謙虚なんだ。賢者は決してうぬぼれない。鋭い眼識を持つがゆえに謙虚になるんだ。そしてそれが、最高の人材ほど、答えよりも質問を多く持っている理由であり、頭脳のネットワークを持っている理由なんだ。(P112)
- 自分の限界を知り、自惚れないこと。
- 人と接するときは、常に相手の無限の価値を信じること。
- あらゆる機会を捉えて、積極的に多くの人と交わること。
- 自分が分かっていないことを受け入れ、謙虚に質問すること。
優秀な人から感じられる人間の深み─────
それは、
どれだけ深く周りの人について学ぶか、ということに他ならないのです。