ルデラルで行こう。

メキシコ(2020.5月中旬以降~)やら、国際協力やら、日本語教育やら、読書記録やら…を綴るブログ

人生100年時代は楽しく、クールで、セクシーに!!

どちらかと言うと、エイヤーではじめの一歩を踏み出しちゃったドンキホーテ型起業家向けの『はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術』

 

 

”高い理想をもち、地道な努力を重ねた起業家が成功を勝ち取る”

 

そんな美化された華やかなサクセスストーリー───著者がE-Myth(Entrepreneur Myth「起業家の神話」)と呼んでいるもの───に騙され、勢いで起業してしまう人が多いですが、

 

現実には、 

米国では驚くほど多くの人が、会社を立ち上げては失敗しているのである。毎年100万人以上が会社を立ち上げる一方で、1年目に40%の会社が、5年間では80%以上、つまり80万社!が姿を消している。そして、たとえ5年間生き延びたとしても、つぎの5年で残りの80%が姿を消す運命にある。(P17)

 

たいていの起業家は、予想もしなかった仕事に追われ、本業に手が回らず、自分が始めた事業に苦しめられているのが実情です。

 

独立は、他人のために働くという苦痛から解放されることを意味していたにもかかわらず。

 

 

 

3年前にパイの専門店をオープンさせたサラもそんな一人。

 

 

「サラ、あなたのパイはこんなに美味しいのに、お店を出さないなんてもったいないわ!」という親友の言葉を信じ、誰の支持も受けずに働ける自由を夢見て、パイ専門店をオープンさせましたが、

 

帳簿だの、資金繰りだの、事業計画だの・・・・店の経営に疲れ果て、大好きだったパイを焼くことさえ嫌になってしまいます。

 

 

本書は、そんなサラが経営コンサルタントの「私」に相談するお話。

 

 

じゃあ考えてみよう。お店の経営がきみの才能や人柄、そしてやる気に依存しているのなら、きみがいなくなれば、お客さんもどこか他の店に行ってしまう。そうだろう?これはきみの能力や時間を、商品として切り売りしているだけなんだ。このままでは、きみの能力や時間の限界以上に事業を広げることはできない。本当なら、きみがいなくても、お客さんが満足するような仕組みをつくらなければならないんだよ。(P55)

 

他人に任せることができないかぎり、あなたは自分が始めた事業の奴隷になってしまうからである。逆に言えば、これを解決するようなアイデアさえ思いつけば、あなたにも自由と成功の道が開けることになる。(P116)

 

 

事業目標の考え方から戦略的目標の立て方、組織図の重要性、管理システムの構築、業務マニュアルの作成といったことから、電話でのやり取り、顧客に対する声の掛け方、制服についてのルールといったことまで、

 

失敗しないためのアドバイスがいろいろ書かれてあり、

 

 

どちらかというと、これから起業しようとしている人に対して「はじめの一歩を踏み出そう」って応援したり背中を押すようなものではなく、

 

 

軽い気持ちで起業しようとしている人を思いとどまらたり、注意喚起するような感じ。

 

もしくは、経営が行き詰っている起業家に対するアドバイス

 

 

多くの起業家は、スモールビジネスを通して、世界を変えようという高い志をもちながら、自分だけは変わろうとしないのである。その結果、やりがいのあるはずの仕事も、苦痛にみちたものになってしまう。(P263)

 

 

そりゃそうなんだよね。

 

 

だって、親友におだてられて調子に乗って起業して経営に行き詰ってる人に対してアドバイスする内容なんだから。

 

 

なのにどうして邦題を『はじめの一歩を踏み出そう』にしちゃうかね?

 

(原題はThe E-Myth Revisited:Why Most Small Business Don't Work and What to Do About It)

 

 

個人的には、「米国では驚くほど多くの人が、会社を立ち上げては失敗している」って言うけど、

 

 何がいけないの?いいじゃん失敗しても。

 

 うだうだ言ってないでとりあえずやってみようぜ。

やらないと何も始まらないし、失敗して学べばいいんじゃないの?

逆に失敗しないと、大きな学びは得られないと思うよ。

 

 

って考え方なので、デイル・ドーテンの『仕事は楽しいかね?』の方が好き。

 

 

仕事は楽しいかね?』で失敗を恐れずにチャレンジして、

それで行き詰ったら『はじめの一歩を踏み出そう』を読む。

 

 

そんな感じがよろしいのではないでしょうか。

 

 

あなたの選んだ起業家の道は、決して平たんものではありません。また、安定とはほど遠いものでしょう。だからこそ面白いのです!それは本当の人生の道───ロロ・メイは「自由の道」と呼ぶかもしれませんが───なのです。メイはこう書いています。

 

「自由とは、ある問題に対して賛否を表明することだけではない。自由とは、自分自身を創造する力である。自由とは能力であり、ニーチェの言葉を借りれば『私たちの本当の姿になること』である」(P261)