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エリスとの愛か立身出世か?近代自我の確立と挫折のドラマ 森鴎外『舞姫』

 

現代語訳 舞姫 (ちくま文庫)

現代語訳 舞姫 (ちくま文庫)

  • 作者:森 鴎外
  • 発売日: 2006/03/01
  • メディア: 文庫
 

 

これまで父親の遺言を守り、母親の教えに従い、人から神童と褒められるのが嬉しくて、上司からは「いい働き手を得た」と言われるのを喜びに努力してきた太田豊太郎

 
 
 
学問の道を歩むようになったのも、官吏の道を歩むようになったのも、
 
 
────みな勇気あって為したことではない
 
 
 
近代都市ベルリンの自由な空気に触れたことで、これまで奥深く潜みかくれていた真の自分が漸く表面に現れた豊太郎
 
 
 
昨日までの自分でない自分────
 
 
 
消極的で器械的人物から能動的人物へ
 
 
 
「我ならぬ我」から「まことの我」へ
 
 
 
従来の価値観から新しい価値観へのパラダイムの転換を試みるが・・・・
 
 
 
 
(豊太郎)「ああ、独逸に来た初めに、自ら自分の本領を悟ったと思って、再び器械的人物にはなるまいと誓ったが、これは足をしばって放たれた鳥が暫らく羽を動かして自由を得たと誇ったと同じようなことではないか」
 
本国での立身出世か────
 
 
  
(エリス)「私の心の楽しさを想像して下さい。産まれる子はあなたに似て黒い瞳を持っているでしょう。この瞳、ああ、夢でいつも見たのはあなたの黒い瞳です。その黒い瞳を持った子が生まれたら、あなたは正しい心で、よもや私生児などにして、他の名を名乗らせたりはなさらないでしょう」
 
ドイツでのエリスとの生活か────
 
 
 
 
(エリス)「どう ご覧になります?この心がまえを」
 
 
 
 
近代自我の確立と挫折のドラマ